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BELS(ZEH・ZEB)

2026年04月08日

ZEB義務化はいつから?省エネ基準の義務化スケジュールと対応のポイントを解説

建築物の省エネ基準への適合が段階的に義務化されており、ZEB水準の性能が求められる流れが強まっています。「いつから対応が必要になるのか」「自分の建物は対象になるのか」と疑問を感じている方も多いはずです。

この記事では、ZEB義務化の背景やスケジュール、そして今から取り組むべきことを専門的な視点からわかりやすく解説します。

ZEB義務化の背景と現在の状況

ZEB義務化の背景と現在の状況

日本のエネルギー政策において、建築物の省エネ化はもはや「努力目標」の段階を過ぎ、法的拘束力を伴う「義務」へとシフトしています。

建築物省エネ法改正と義務化の経緯

これまでの「建築物省エネ法」では、一定規模以上の大規模・中規模な建築物のみが省エネ基準への適合を義務付けられてきました。しかし、2050年カーボンニュートラルという高い目標を達成するためには、それだけでは不十分とされています。

これを受けて2022年に法改正が行われ、2025年度からは原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物において省エネ基準への適合が必須となります。

つまり、これまでは対象外だった小規模なオフィスや店舗、さらには一般の戸建て住宅までもが、基準を満たさなければ「建てられない」時代が目前に迫っているのです。

脱炭素政策のなかでZEBが果たす役割

日本の一次エネルギー消費のうち、建築物(業務・家庭部門)が占める割合は非常に大きいとされています。

政府が掲げる「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度以降に新築される建築物について「ZEB水準の省エネ性能」を確保することを目指しています。ZEBは単なる省エネビルではなく、創エネを含めてエネルギー収支をゼロにする究極の脱炭素建築です。

こうしたZEBへの移行を政策として促進することは、エネルギー自給率の低い日本にとって、経済面・エネルギー安全保障の両面で重要な取り組みと言えます。

義務化のスケジュールと対象建物

義務化のスケジュールと対象建物

義務化は一気に始まるわけではなく、段階を追って範囲や基準が厳しくなっていく仕組みになっています。実務者が混乱しないよう、その全体像を整理してみましょう。

省エネ基準適合義務化の段階的スケジュール

現在進行しているスケジュールで、最も重要な節目となるのが「2025年度(令和7年度)」です。省エネ基準の義務化は、以下のような段階的スケジュールで進められています。

  • ・2024年4月〜: 省エネ性能表示制度の努力義務化。広告等への性能表示が求められるようになりました。
  • ・2025年4月〜: 原則すべての新築建物が省エネ基準(BEI≦1.0)への適合が義務化されます。
  • ・2030年度〜: 新築されるすべての建築物について、「ZEB水準」への適合義務化(BEI≦0.5〜0.6など)を目指しています。

つまり、2025年にまず「最低ライン(現行の省エネ基準)」が義務化され、そのわずか5年後にはさらに高い「ZEB水準」がスタンダードになる、という二段構えのスケジュールになっているのです。

これは、建築業界にとって非常にタイトな進行管理が求められる状況と言えるでしょう。

対象となる建物の規模・用途の整理

2025年4月以降は、省エネ基準の適合義務の対象範囲が大きく拡大し、原則としてすべての新築建物が対象となります。

具体的には、これまで説明義務にとどまっていた300㎡未満の小規模な非住宅建築物や、すべての新築住宅が含まれます。唯一の例外は、畜舎や倉庫などエネルギーをほとんど消費しない特殊な建物や、小規模な付属建築物などに限られます。

事務所ビル、商業施設、ホテル、病院といった一般的な非住宅建築物は、規模を問わず例外なく基準を満たす必要があるでしょう。

ZEB水準が求められる建物の条件

ここで注意したいのは、「現行の省エネ基準(BEI≦1.0)」と「ZEB水準(BEI≦0.5〜0.7)」の違いです。

2025年の義務化では、まずBEI 1.0をクリアすれば確認済証が交付されます。しかし、公的事業や補助金を活用する場合、あるいは2030年の先取りを目指す場合は、すでにZEB水準(BEI 0.5〜0.6など)が求められるケースも少なくありません。 

特に延べ面積1万㎡以上の大規模建築物であれば、すでに「ZEB Oriented」という形でZEB水準への対応が強く推奨されています。

こうした流れから、ZEB水準は事実上の標準として広がりつつあります。今のうちからZEB水準を意識して設計することが、将来的な資産価値の維持につながるでしょう。

義務化に向けて今から取り組むべきこと

義務化に向けて今から取り組むべきこと

義務化が始まってから慌てても、設計やコストの調整は容易ではありません。今から準備を整えておくことが、円滑な事業運営には欠かせないでしょう。

省エネ性能の現状把握から始める

まずは、自社で手掛けている標準的な仕様が、現在の、そして未来の「ZEB水準」に対してどの程度の位置にあるのかを客観的に把握することが重要です。

過去の設計データをもとに省エネ計算を行ってみれば、「今のままではBEI 1.0はクリアできるが、0.6には届かない」といった課題が明確に見えてきます。

住宅性能評価制度における各項目を確認するように、断熱材の厚みや設備の効率を数値で見つめ直すことが、ZEB対応の出発点となります。

省エネ計算・申請の準備を早めに進める

義務化が始まると、建築確認申請の手続きの中に「省エネ適合性判定」が組み込まれます。これにより、これまで以上に図面作成や計算に時間がかかるようになると予想されるでしょう。

特に、ZEB水準を目指す場合は計算が複雑になり、わずかな仕様変更がBEIの数値に大きく影響します。設計の初期段階から省エネ計算を並行して行う体制を構築しておくことが大切です。

登録住宅性能評価機関などの専門機関とあらかじめ連携を深め、スムーズな審査のポイントを把握しておくことも、実務上の大きなリスクヘッジになります。

補助金を活用しながら計画的に対応する

義務化によって性能を上げることは、初期コストの上昇を意味します。しかし、幸いなことに国は現在、義務化に先駆けて取り組む事業者に対して手厚い補助金を用意しています。

「義務化されるから仕方なく対応する」のではなく「補助金が出る今のうちにZEB化のノウハウを蓄積し、資産価値の高い建物を建てる」という前向きな姿勢こそが、経営上のメリットを最大化する鍵となるでしょう。

補助金の公募スケジュールと建築計画を照らし合わせ、計画的に認定取得を進めていくことが、資金繰りの面でも非常に重要になるはずです。

義務化対応で気をつけること

義務化対応で気をつけること

制度の過渡期においては、思わぬところでプロジェクトが停滞するリスクがあります。

対応が遅れると申請・着工に影響が出る

2025年4月以降、省エネ基準に適合していない建物は確認済証が交付されません。つまり、着工ができない事態に陥ります。これまで省エネ計算を外注していなかった事務所や、小規模案件を中心に扱っていた工務店などは、計算リソースの不足により申請が遅延してしまうリスクがあるでしょう。

確認申請の直前になって「数値が足りない」ことが判明し、大幅な設計変更を余儀なくされるケースも増えるかもしれません。スケジュールに余裕を持たせ、早めに性能を確定させることが、工期を守るための重要なポイントとなります。

義務化の内容は建物用途によって異なる

省エネ基準は一律ではなく、建物の用途(事務所、飲食店、ホテルなど)によって、基準となるエネルギー消費量が細かく設定されています。

特に「併用住宅」や「複合ビル」の場合、どの部分にどの基準を適用するのか、判定方法が複雑になることがあります。

また、2030年に向けたZEB水準の目標値も用途ごとに異なります。自分の手掛ける物件がどのカテゴリーに属し、何パーセントの削減が求められるのかを正確に把握しておかなければ、誤った設計目標を立ててしまうことになりかねません。

専門家への早めの相談が対応の近道

これら複雑な法規制や高度な計算、そして補助金申請をすべて自社だけでこなすのは、現実的に見て大きな負担でしょう。

住宅性能評価機関などの第三者機関や、省エネ計算に精通した専門家に早い段階で相談することは、単なる「作業の代行」以上の価値があります。

「どうすれば最も効率的に基準をクリアできるか」「最新の法解釈はどうなっているか」といったプロの知見を得ることで、無駄なコストを抑えつつ、確実な適合判定を勝ち取ることができるでしょう。

これからの義務化時代を勝ち抜くためにも、専門家との強固なネットワークを持つことが大切です。

まとめ

ZEBに関連する省エネ基準の義務化は、段階的に範囲が拡大しています。2025年の全建築物義務化、そして2030年のZEB水準義務化という大きな流れは、もう止まることはありません。

対応が遅れると設計や着工のスケジュールに影響が出るだけでなく、将来的な建物の市場価値をも損なう恐れがあります。

早めに現状を把握し、信頼できる専門家と連携して準備を進めることが何よりも重要です。補助金も賢く活用しながら、義務化を負担ではなく「建物の付加価値を高めるチャンス」と捉え、計画的にZEB水準への対応を進めていきましょう。

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