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省エネ計算・適合性判定

2026年09月30日

省エネ適判の対象外となる建築物は?条件・手続き・必要書類を解説

2025年4月から、原則としてすべての新築・増改築で省エネ基準への適合が義務化されています。ただし、すべての建築物で省エネ適判が必要になるわけではありません。床面積や用途などによって省エネ基準そのものが適用除外となる場合もあれば、省エネ基準には適合する必要があるものの、省エネ適判や省エネ審査・検査を省略できる場合もあります。そのため、省エネ適判が不要かどうかを判断する際は、まず省エネ基準の適用対象かを確認し、その上で審査や手続きの要否を確認することが重要です。

当記事では、省エネ適判の対象外となる条件や、省エネ適判等を省略できる建築物の特徴、適判が必要な場合の申請手続きと必要書類を解説します。

1.省エネ適判の対象外となる建築物はある?2025年4月以降の基本ルール

省エネ適判とは、建築物が省エネ基準に適合しているかを、所管行政庁や登録省エネ判定機関が確認する手続きです。2025年4月以降は、原則としてすべての新築・増改築で省エネ基準への適合が義務化されましたが、すべての建築物で省エネ適判が必要になるわけではありません。

制度上は、省エネ基準への適合義務そのものが適用されない建築物と、適合義務はあるものの、省エネ適判や省エネ審査・検査を省略できる建築物に分かれます。後者では適合義務自体は残るため、適判が不要でも省エネ基準への対応は必要です。

出典:国土交通省「【建築物省エネ法第11・12条】 適合性判定の手続き・審査の合理化について」

2.省エネ適判の対象外となる条件【省エネ基準の適用除外】

省エネ基準への適合義務そのものが適用除外となる建築物は、その結果として省エネ適判も不要です。ここでは、規模や用途などによる代表的な対象外条件を4つ紹介します。

出典:e-Gov 法令検索「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令」

2-1.新築・増改築部分の床面積が10平米以下の建築物

新築または増改築を行う部分の床面積の合計が10m2以下の場合は、省エネ基準への適合義務が適用されず、省エネ適判も不要です。増改築では、建物全体の延べ面積ではなく、実際に増改築する部分の床面積で判断します。たとえば、既存住宅に8m2の部屋を増築する場合は、この面積要件に該当します。

一方、増築後の建物全体が10m2を超えていても、増築する部分が10m2以下であれば、この規模要件に当てはまります。2025年4月から原則として新築・増改築で省エネ基準への適合が義務化されていますが、10m2以下の規模は政令上の適用除外です。工事範囲の床面積を確認し、適用の有無を判断しましょう。

2-2.居室がない・高い開放性を有することで空調設備が不要な建築物

居室がない、または高い開放性があり、空調設備を設ける必要がないものとして政令で定められた用途の建築物は、省エネ基準の適用除外となり、省エネ適判も不要です。対象は、単に空調設備を設置していない建築物ではなく、用途や建物のつくりが法令上の条件に該当するものに限られます。

具体例として、居室を持たない自動車車庫・自転車駐車場・畜舎・堆肥舎などがあります。また、高い開放性を有する建築物では、観覧場・スケート場・水泳場・スポーツの練習場・神社・寺院などが対象となります。なお、建物全体が適用除外となる用途に該当するかを確認することが必要です。

2-3.省エネ基準への適合が困難な歴史的建造物・文化財等

国宝や重要文化財、伝統的建造物群保存地区内の一定の建築物、景観重要建造物などは、省エネ基準の適用除外となり、省エネ適判も不要です。歴史的な価値や外観を守る必要がある建築物では、断熱材の追加や窓の交換など、省エネ基準に合わせた改修が保存上難しい場合があるためです。

ただし、古い建物であれば一律に対象外になるわけではありません。文化財保護法や景観法による指定を受けた建築物のほか、条例により現状変更の規制や保存措置が講じられ、省エネ基準への適合が困難であると所管行政庁が認めた建築物など、法令で定められた条件に該当する必要があります。

2-4.応急仮設建築物・仮設建築物・仮設興行場等

非常災害時に建てられる応急仮設建築物や、工事現場に設ける仮設建築物、一定の仮設興行場などは、省エネ基準への適合義務が適用されず、省エネ適判も不要です。これらは恒久的に使用する一般の建築物とは異なり、建築基準法上も仮設建築物として扱われます。

具体例には、災害時の応急住宅や公益上必要な応急施設、工事期間中に設ける現場事務所、期間を限って設置する仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗などがあります。ただし、仮設であればすべて対象外になるわけではなく、建築基準法第85条の所定の区分に該当することが条件です。計画時には、該当する区分を確認することが大切です。

3.省エネ基準への適合義務はあるが省エネ適判が不要となる建築物

省エネ基準への適合義務があっても、建築物の規模や区域、確認方法によっては、省エネ適判や省エネ審査・検査を省略できる場合があります。ここでは、ケースを2つ解説します。

出典:国土交通省「【建築物省エネ法第11・12条】 適合性判定の手続き・審査の合理化について」

3-1.省エネ審査・検査の対象外となる小規模建築物

省エネ基準への適合義務がある建築物でも、一定の小規模建築物は省エネ基準への適合性審査・検査を省略できます。具体的には、都市計画区域・準都市計画区域の外にある平屋かつ床面積200m2以下の建築物が対象です。

また、都市計画区域・準都市計画区域内では、平屋かつ床面積200m2以下の建築物のうち、建築士が設計・工事監理を行うものは審査・検査を省略できます。これらは手続き上の審査・検査が不要になるだけで、省エネ基準への適合義務そのものがなくなるわけではありません。設計時には、省エネ基準を満たす仕様や性能を確保する必要があります。

3-2.仕様基準等を用いて省エネ基準への適合を確認する住宅

住宅の外皮性能と一次エネルギー消費性能の両方を、仕様基準または誘導仕様基準で確認する場合は、省エネ適判を省略し、建築確認の中で省エネ基準への適合を確認できます。仕様基準は、断熱材や窓、設備などについて定められた仕様を満たしているかで適合を確認する方法です。

また、一定の設計住宅性能評価を受けた住宅の新築や、長期優良住宅建築等計画の認定、長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築でも、省エネ適判を省略できます。ただし、いずれも省エネ基準への適合義務がなくなるわけではなく、別の方法で基準への適合を確認する仕組みであり、必要な省エネ性能の確保は求められます。

4.省エネ適判が必要な場合の手続き・必要書類

省エネ適判が必要な場合は、省エネ計算を行った上で申請し、基準への適合確認を受けます。ここでは、申請から適合判定通知書の交付までの流れと、必要書類を解説します。

4-1.省エネ計算・申請から適合判定通知書の交付までの手続き

省エネ適判が必要な建築物では、省エネ計算を行い、計画を作成して適合性判定を受けます。基本的な手続きは次の通りです。

1外皮性能や一次エネルギー消費性能を計算し、建築物エネルギー消費性能確保計画を作成します。
2計画書や図面、計算書などを所管行政庁または登録省エネ判定機関へ提出し、省エネ基準への適合性判定を受けます。
3基準への適合が確認されると、適合判定通知書が交付されます。
4交付された適合判定通知書(またはその写し)と省エネ計画書の副本(またはその写し)を建築主事または指定確認検査機関へ提出し、省エネ以外の審査事項にも問題がなければ確認済証の交付を受けて着工します。

出典:国土交通省「【建築物省エネ法第11・12条】 適合性判定の手続き・審査の合理化について」

4-2.省エネ適判の申請に必要な書類

省エネ適判の申請では、計画書に加え、省エネ性能を確認するための図面や計算書などを提出します。主な書類は次の通りです。

建築物エネルギー消費性能確保計画書申請する建築物や計画の基本情報を記載する
設計内容説明書省エネ基準に適合する設計内容を説明する
各種図面配置図・平面図・仕様書などで建物や設備の計画を示す
各種計算書・機器表等外皮性能や一次エネルギー消費性能、設備仕様などを確認する

必要書類は、住宅・非住宅の別や評価方法によって異なります。申請先によって追加資料を求められる場合もあるため、事前に所管行政庁や登録省エネ判定機関の案内を確認しましょう。

出典:国土交通省「住宅:法令・制度、省エネ基準等」

まとめ

省エネ適判が不要になるケースには、省エネ基準への適合義務そのものがない場合と、適合義務はあるものの省エネ適判や省エネ審査・検査を省略できる場合があります。10m2以下の新築・増改築部分や一定の文化財、仮設建築物などは省エネ基準の適用除外です。一方、一定の小規模建築物や仕様基準等を用いる住宅では、省エネ基準への適合義務を残したまま審査等を省略できます。

省エネ適判が必要な場合は、省エネ計算を行って必要書類を作成し、所管行政庁または登録省エネ判定機関へ申請します。計画中の建築物について、まず省エネ基準の適用対象か、次に省エネ適判等が必要かを順に確認し、必要な手続きを整理することが大切です。

監修者JNS 省エネ建築コラム 監修チーム

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