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省エネ計算・適合性判定

2026年09月30日

省エネ計算のやり方とは?目的や評価方法・計算時のポイントを解説!

省エネ計算は、建築物の外皮性能や一次エネルギー消費性能を算出し、省エネ基準への適合を確認するために行います。2025年4月からは、原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務付けられました。住宅と非住宅では評価項目や計算方法が異なるため、それぞれに合った方法を選ぶことが大切です。

当記事では、省エネ計算の基本や住宅・非住宅の評価方法、計算時のポイント、計算プログラムまで分かりやすく解説します。省エネ計算のやり方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.省エネ計算とは?

省エネ計算とは、建築物のエネルギー消費性能を数値で算出し、国が定める省エネ基準を満たすかどうかを確認する計算です。2022年6月17日に公布された改正建築物省エネ法により、すべての新築住宅・新築非住宅に省エネ基準への適合義務が課され、これに伴い従来の届出義務(第19条)は廃止されました。

増改築の場合は、増改築を行う部分のみ基準適合が求められます。基準適合が前提となったことで、省エネ性能の確認は設計段階に欠かせない工程となっています。

出典:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要」

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1-1.省エネ計算の目的

省エネ計算には、省エネ設計に生かすことと、省エネ基準への適合性を確認することの2つの目的があります。

設計に生かす場面では、仕様を変えたときにエネルギー消費量がどれだけ減るかを数値で確認できます。たとえば窓の断熱性を高める案と給湯器を高効率なものに替える案では、費用も削減量も異なります。どちらが有利かを数値で比較できるため、施主に根拠を示した提案ができるでしょう。

基準適合の確認で算出した数値は、省エネ適合性判定を受ける際の根拠資料になります。

2.省エネ計算のやり方|確認する主な性能

省エネ計算で確認する性能は、外皮性能と一次エネルギー消費性能の2つです。外皮性能は建物の断熱と日射遮蔽を、一次エネルギー消費性能は設備が使うエネルギー量を評価します。

省エネ基準への適合に必要な評価項目は住宅と非住宅で異なるため、まずは2つの性能がそれぞれ何を測る指標なのかを確認しましょう。

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2-1.外皮性能

外皮性能は、建物からの熱の逃げやすさと建物への日射熱の入りやすさという2つの点から、屋根・天井・外壁・窓・床など室内と屋外の境界になる部位を評価します。

■外皮性能を評価する2つの指標

  • 建物からの熱の逃げやすさ:外皮平均熱貫流率(UA値)
  • 建物への日射熱の入りやすさ:冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

出典:国土交通省「ラベル項目の解説 断熱性能」

どちらも外皮面積の合計で平均した値で、算出方法は下記の通りです。

■UA値・ηAC値の計算方法

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)=外皮熱損失量 ÷ 総外皮面積
  • 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)=総日射取得量 ÷ 総外皮面積 × 100

出典:国土交通省「住宅の省エネルギー基準と評価方法2024」

いずれも数値が小さいほど性能が高く、外皮熱損失量は部位ごとの面積・長さに熱貫流率と温度差係数を掛けて合計します。図面から拾う面積の精度が計算結果を左右します。

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2-2.一次エネルギー消費性能

一次エネルギー消費性能は、冷暖房・換気・照明・給湯など建物で使う設備のエネルギー消費量を一次エネルギーに換算して評価します。

■一次エネルギー消費量の考え方

一次エネルギー消費量 = 建物の中で使用するエネルギー(冷暖房設備・換気設備・給湯設備・照明設備など)- 建物の設備で生み出すエネルギー(太陽光発電システム・コージェネレーション設備)

出典:国土交通省「一次エネルギー消費量とは?」

評価に用いる指標はBEIで、国が定めた基準となる年間エネルギー消費量(基準一次エネルギー消費量)に対する、設計内容から算出した年間エネルギー消費量(設計一次エネルギー消費量)の割合として算出します。

BEIが1.0であれば2016年省エネルギー基準と同等の水準で、値が小さいほど省エネ性能の高い建物です。太陽光発電を設置した場合は自家消費分を削減量として差し引けるため、設備の効率と創エネ設備の有無で数値が変動します。

出典:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター「住宅の省エネルギー基準と評価方法2024 戸建住宅版」 1-009ページ

3.住宅と非住宅で異なる省エネ計算の評価項目

省エネ計算は、住宅と非住宅で評価する性能・用いる指標・計算方法が変わります。住宅は外皮性能と一次エネルギー消費性能の両方を評価する点が特徴です。

■住宅(共同住宅)の省エネ基準で用いる主な指標

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)
  • 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)
  • 一次エネルギー消費性能(BEI値)

外皮性能の基準値は地域区分ごとに定められ、全国は1地域(旭川市)から8地域(那覇市)までの8区分に分かれます。UA値の省エネ基準値は1地域と2地域が0.46、3地域が0.56、4地域が0.75、5地域から7地域が0.87で、8地域には設定がありません。同じ仕様でも計画地が変われば適否が分かれます。

出典:国土交通省「地域区分の見直し」

出典:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター「住宅の省エネルギー基準と評価方法2024 戸建住宅版」 2-005ページ

非住宅建築物は、BEIを用いた一次エネルギー消費性能で省エネ基準への適合性を確認します。計算対象になるのは、空調・換気・照明・給湯・昇降機などの設備です。外皮性能そのものは、屋内周囲空間の床面積当たりの年間熱負荷を表すPAL*(パルスター)という指標で評価します。なお、省エネ基準への適合義務ではPAL*による外皮性能の適合は求められていません。建物用途や規模で適用される基準値や計算方法が変わるため、着手前に対象範囲を確認しましょう。

4.住宅・非住宅で使われる省エネ性能の評価方法

住宅と非住宅では、省エネ性能を評価する方法そのものが変わります。住宅は標準計算ルートと仕様ルート、非住宅は標準入力法とモデル建物法が主な選択肢です。作業量と評価の細かさが方法ごとに違うため、建物の規模と設計の自由度に合わせて選びます。

4-1.住宅:標準計算ルート・仕様ルート

住宅で用いられる主な評価方法は、次の2つです。

・標準計算ルート

標準計算ルートは、部位ごとの面積・長さ・性能値・係数からUA値とηAC値を求め、一次エネルギー消費量を専用のWebプログラムで算出する方法です。外皮面積を図面から拾う手間はかかるものの、設置する設備の性能・仕様をそのまま入力でき、選択肢が広がります。

・仕様ルート

仕様ルートは、外皮の各部位と設備の仕様が定められた基準に合致しているかを照合する方法です。躯体の断熱性能、開口部の断熱性能と日射遮蔽性能、暖房・冷房・給湯・換気・照明の仕様が定められており、外皮面積の計算がいりません。手軽に判定できる半面、選べる設備は計算ルートより限られます。

出典:国土交通省「住宅の省エネルギー基準と評価方法2024」

2023年10月からは、外皮性能を仕様ルート、一次エネルギー消費性能を標準計算ルートで評価する組み合わせも選べます。なお、外皮面積を計算しない簡易計算ルートとモデル住宅法は2025年4月に廃止され、現在公開されている計算プログラムの一覧にも掲載されていません。

4-2.非住宅:標準入力法・モデル建物法

非住宅建築物で用いられる主な評価方法は、次の3つです。

・標準入力法

標準入力法は、原則としてすべての室を対象に、外皮の仕様・面積や設備機器の仕様などを入力して計算する方法です。建物規模による制限はなく、実際の設計内容を細かく反映できる一方、入力・確認する項目が多くなるため、計算に手間がかかります。

・モデル建物法

モデル建物法は、事務所やホテル、学校などの建物用途ごとに用意されたモデルを選び、主要な外皮や設備の仕様を入力して計算する方法です。建物規模による制限はなく、標準入力法より入力項目が絞られているため、比較的少ない作業量で評価できます。

・モデル建物法(小規模版)

モデル建物法(小規模版)は、非住宅部分の合計面積が300m2未満の建築物を対象に、モデル建物法の入力項目をさらに簡略化した方法です。入力の手間を抑えられる一方、対象となる建築物の規模に制限があります。

出典:国土交通省「省エネ基準適合義務対象建築物に係る 完了検査の手引き(令和7年4月版)」

複数の用途が混在する建築物では、用途ごとにモデルを選んで計算するため、事前に用途区分を整理しておく必要があります。いずれの方法でも、一次エネルギー消費量の計算には建築研究所が公開する非住宅建築物向けのWebプログラムを使用します。入力にかかる手間や、設計内容をどこまで細かく反映する必要があるかを踏まえて、適した方法を選択しましょう。

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5.省エネ計算を行う際のポイント

省エネ計算のポイントは、正確な設計情報をそろえてから計算に着手することです。外皮の面積、建具の性能値、設備機器の型番と効率が固まらないうちに始めると、仕様変更のたびに再計算が発生します。

建築物の規模と用途に適したソフト選びも欠かせず、非住宅部分の合計面積が300m2以上ある建築物ではモデル建物法(小規模版)を使えません。入力ミスも結果を動かすため、面積の拾い出しと機器の型番は図面・カタログと突き合わせます。

省エネ適合性判定の申請には、2025年4月以降、省エネ計算結果登録システムからダウンロードした適判用の計算結果が必要です。

出典:国立研究開発法人建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」

6.省エネ計算に使えるソフト・計算プログラム

省エネ計算では、住宅と非住宅それぞれに対応した計算プログラムがWeb上で公開されています。代表的なプログラムは次の2つです。

・住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム

出典:国立研究開発法人建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」

・非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム

出典:国立研究開発法人建築研究所「非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」

住宅版にはエネルギー消費性能計算プログラムと外皮性能の計算プログラムがそろい、非住宅版には標準入力法とモデル建物法のプログラムが用意されています。どちらも更新は原則として年2回、毎年4月と10月です。申請時点の版を確認し、建築物の種類と採用する評価方法に応じて使い分けましょう。

まとめ

省エネ計算は、外皮性能と一次エネルギー消費性能を算出し、省エネ基準への適合を確認する作業です。省エネ計算には、外皮や設備の情報整理から基準への適合確認まで専門的な作業が伴います。自社での対応が難しい場合や、計算・申請業務の負担を軽くしたい場合は、専門家への依頼も選択肢です。

JNS建築事務所では、住宅・非住宅の省エネ計算をはじめ、省エネ適判の申請代行、BELS・CASBEE・住宅性能評価など、各種申請・評価業務を全国でサポートしています。省エネ計算や申請業務でお困りの方は、JNS建築事務所へお気軽にご相談ください。

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監修者JNS 省エネ建築コラム 監修チーム

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