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避難安全検証

2026年09月30日

避難安全検証法のルートCとは?ルートA・Bとの違いやメリット・流れを解説

避難安全検証法のルートCは、告示に定められた計算方法によらず、国土交通大臣の認定を受けて避難安全性能を確かめる方法です。大規模な吹抜きを持つ商業施設や工場など、告示の計算式では設計上の制約が生じる場合に、建物の実態に応じた方法で安全性を検証できます。

当記事では、ルートA・Bとの違いや計算の考え方、メリット、認定までの流れを解説します。ルートCがどのような設計に適しているのかを知り、採用を検討する際の参考にしてください。

1. 避難安全検証法のルートCとは

避難安全検証法は、火災時に建物内の人が安全に避難できることを検証し、一定の条件を満たすことで、建築基準法施行令に定められた避難関係規定の一部を適用除外にできる仕組みです。

中でもルートCは、告示で定められた計算方法だけでは評価しにくい建築物にも対応できる方法として用いられます。まずは、ルートCの特徴と避難安全性能を検証する単位について見ていきましょう。

1-1. 告示によらない高度な検証法で避難安全性能を確かめる方法

ルートCは、告示に定められた計算方法によらず、建築物の特性に応じた方法で避難安全性能を検証し、国土交通大臣の認定を受ける方法です。

一般に、告示で定められた計算方法を用いて避難安全性能を検証する方法をルートB、告示によらない方法で個別に安全性を検証し、大臣認定を受ける方法をルートCと呼びます。

ルートCでは、煙の流動や避難行動などをより詳細に予測することで、告示の計算方法では評価しにくい空間についても安全性を検討できます。そのため、大規模な吹抜きや特殊な用途・形状を持つ建築物などで採用が検討されます。

1-2. 区画・階・全館の3つの検証単位がある

避難安全性能は、対象とする範囲によって「区画」「階」「全館」といった単位で検証します。

区画避難では一定の区画から安全な場所まで避難できるか、階避難では対象となる階から直通階段まで安全に避難できるかを確認します。全館避難では、建築物内にいる人が地上まで安全に避難できるかを検証します。

どの単位で検証するかによって、対象となる避難経路や適用除外を受けられる規定などが異なります。ルートCを採用する場合も、建築物の計画や緩和したい規定などに応じて、必要な検証範囲を設定することが重要です。

2. 避難安全性能を確認する方法の種類|ルートA・B・Cの違い

避難安全性能を確保する方法は、実務上、ルートA・B・Cの3つに整理されます。

ルート検証・設計の方法主な手続き
ルートA仕様規定に適合させる 建築確認
ルートB告示に定められた方法で避難安全性能を検証する建築確認
ルートC告示によらない方法で避難安全性能を検証する性能評価・大臣認定など

ルートAからCになるにつれて、個別の建築計画に応じた検討がしやすくなる一方、検証や手続きに必要な時間・費用も増える傾向があります。

2-1. ルートA:避難安全検証法を使わず仕様規定に適合させる方法

ルートAは、避難安全検証法を使わず、建築基準法令で定められた仕様規定に適合させる方法です。

建築基準法施行令では、廊下の幅や直通階段までの歩行距離、排煙設備、防火区画などについて一定の基準が設けられています。ルートAでは、それぞれの建築計画について必要な基準を確認し、仕様規定に沿って設計します。

避難安全性能について別途性能評価や大臣認定を受ける必要がないため、一般的な規模や形状の建築物では採用しやすい方法です。一方、仕様規定をそのまま適用すると、建築物の用途や空間構成によっては設計上の制約が大きくなる場合があります。

2-2. ルートB:告示に定められた方法で避難安全性能を検証する方法

ルートBは、国土交通省告示に定められた計算方法を用いて、火災時の避難安全性能を検証する方法です。

避難に必要な時間や、火災によって生じる煙・ガスの影響などを計算し、在館者が安全に避難できることを確認します。検証によって一定の避難安全性能を満たすことを示せれば、対応する避難関係規定の一部について適用除外を受けられます。

告示に定められた方法で検証するため、ルートCのような個別の大臣認定は原則として必要ありません。仕様規定だけでは計画上の制約が大きいものの、告示の計算方法で安全性を確認できる建築物では、有効な選択肢となります。

2-3. ルートC:高度な検証法を用いて性能評価・大臣認定を受ける方法

ルートCは、告示に定められた計算方法だけでは評価が難しい建築物について、より詳細な方法を用いて避難安全性能を検証する方法です。

煙流動や避難行動などを建築物の条件に合わせて検討し、指定性能評価機関による性能評価を経て、国土交通大臣の認定を受けます。

ルートA・Bと比べると、建築物の特性を反映した検討を行いやすい点が特徴です。一方、性能評価や大臣認定に関する手続きが必要になるため、検討期間や費用も考慮して採用を判断する必要があります。

3. 避難安全検証法のルートCにおける考え方と計算手法

ルートCでは、火災によって発生する煙やガスの動きと、在館者が避難するまでに必要な時間などを検討し、安全に避難できることを確認します。

告示で一律に定められた条件だけでなく、建築物の用途や形状などを踏まえて検証できることが特徴です。

3-1. 火災時の煙やガスの影響を予測する

火災が発生すると、熱や煙が上昇し、天井付近から煙が蓄積していきます。ルートCでは、煙がどのように広がるのかを予測し、避難に支障が生じるまでの時間などを検討します。

検証に用いられる手法の1つが、空間を高温の上部層と比較的温度の低い下部層に分けて考える二層ゾーンモデルです。火災の規模や空間の形状、開口部などの条件を設定し、煙層の高さや温度などの変化を予測します。

計画に応じて適切な解析方法を選択することで、告示の計算方法では十分に評価しにくい空間についても、実態に即した検討を行いやすくなります。

3-2. 在館者が安全に避難できるかを検証する

煙やガスの影響だけでなく、建物内にいる人が安全な場所まで避難するために必要な時間も検証します。

避難開始までの時間や歩行にかかる時間、出口などを通過するための時間を考慮し、避難が完了するまで安全な避難経路が確保されているかを確認します。

重要なのは、火災の発生から避難完了までの間、煙やガスによって避難に支障が生じないことです。ルートCでは、煙の挙動と避難に必要な時間を建築物の条件に応じて検討し、避難安全性能を確認します。

3-3. 建築物の用途や空間特性に応じて検証条件を設定する

ルートCでは、建築物の用途や空間の形状などを踏まえて検証条件を設定します。

たとえば、大規模な吹抜きを持つ商業施設と、大きな設備が配置された工場では、火災時の煙の広がり方や避難経路が異なります。そのため、すべての建築物に同じ条件を当てはめるのではなく、計画ごとに適切な条件を設定する必要があります。

火災を想定する場所や規模、空間の形状、開口部、在館者数など、検証結果に影響する条件を整理し、合理的な根拠を示すことが重要です。

4. 避難安全検証法でルートCを採用するメリット

ルートCを採用する主なメリットは、仕様規定だけでは実現しにくい建築計画について、避難安全性能を個別に検証できる点です。

一定の安全性能を示すことができれば、避難関係規定の一部について適用除外を受けられるため、空間構成や設備計画の選択肢を広げられる場合があります。

4-1. 排煙設備や防火区画などの仕様規定を合理化できる

避難安全性能を検証して一定の要件を満たすことで、検証する範囲に応じて、排煙設備や防火区画、避難施設などに関する一部の仕様規定について適用除外を受けられる場合があります。

たとえば、大規模な吹抜きでは、防火区画などの仕様規定が空間構成に大きな影響を与えることがあります。

ルートCによる検証で避難安全性能を確認できれば、必要な安全性を確保しながら、建築物の特性に合わせて防火・避難計画を合理化できる可能性があります。

4-2. 建築物の特性を生かした空間構成を実現しやすい

ルートCでは、建築物ごとの条件を踏まえて避難安全性能を検証するため、仕様規定だけで設計する場合よりも空間構成の自由度を高められる可能性があります。

たとえば、複数階にまたがる大規模な吹抜きを設ける商業施設では、防火区画などの仕様規定が空間計画に影響することがあります。ルートCによって建築物全体の避難安全性能を検討すれば、開放的な空間を維持しながら安全性を確保できる場合があります。

ただし、ルートCを採用すれば自由に設計できるわけではありません。計画した空間について安全性を合理的に説明できることが前提です。

4-3. ルートBでは検証が難しい用途や空間にも対応できる

ルートCでは、告示の計算方法だけでは評価しにくい用途や空間についても、建築物の実態を踏まえた検証を行える場合があります。

たとえば、大規模な吹抜きがある建築物や、設備などの配置によって一般的な防火区画を設けにくい建築物では、ルートBの計算方法だけでは計画が成立しにくいことがあります。

ルートCでは、空間の形状や火災時の煙の動きなどをより詳細に検討できるため、仕様規定やルートBでは対応が難しい建築計画でも、安全性を検討する選択肢になります。

5. 避難安全検証法でルートCを採用する場合の流れ

ルートCでは、建築物の避難安全性能を検証した上で、指定性能評価機関による性能評価や国土交通大臣の認定に関する手続きを進めます。

通常の建築確認に加えて手続きが必要となるため、ルートCを検討する場合は、設計の早い段階からスケジュールを考えておくことが重要です。

5-1. 指定性能評価機関による性能評価を受ける

ルートCでは、まず建築計画や検証内容をまとめ、指定性能評価機関による性能評価を受けます。

性能評価では、設定した火災条件や検証方法、計算結果などをもとに、建築物が必要な避難安全性能を備えているかが審査されます。

特殊な建築計画では、検証方法や条件設定について事前の検討が必要になる場合があります。そのため、ルートCの採用を検討している場合は、基本設計など比較的早い段階から準備を進めることが重要です。

5-2. 性能評価を経て国土交通大臣の認定を受ける

指定性能評価機関による性能評価を受けた後は、その評価結果をもとに国土交通大臣の認定に関する手続きを進めます。

認定を受けることで、個別の建築計画について必要な避難安全性能を備えていることが確認され、認定内容に応じて避難関係規定の一部が適用除外となります。

性能評価や認定に必要な期間は、建築物の規模や計画内容などによって異なります。設計の途中でルートCへ変更すると工程に影響する可能性があるため、採用する場合は早めに検討しておくことが大切です。

5-3. 認定内容を踏まえて建築確認の手続きを進める

大臣認定を取得した建築計画では、認定された内容を踏まえて建築確認の審査を受けます。

建築確認では、ルートCによって認定された内容だけでなく、そのほかの建築基準関係規定への適合についても確認されます。そのため、避難安全検証だけでなく、建築計画全体との整合を取りながら手続きを進めることが重要です。

また、認定を受けた条件から建築計画を変更すると、変更内容によっては追加の検討や手続きが必要になる場合があります。設計変更の可能性も考慮しながら、検証内容を決めておくことがポイントです。

まとめ

避難安全検証法のルートCは、告示に定められた計算方法によらず、建築物の特性に応じて避難安全性能を検証し、国土交通大臣の認定を受ける方法です。ルートA・Bよりも検討や手続きは増えますが、大規模な吹抜きや特殊な空間など、仕様規定や告示の検証方法では対応しにくい建築計画にも対応できる可能性があります。

ルートCを採用する場合は、性能評価や大臣認定に必要な期間も考慮し、設計の早い段階から検討を進めることが大切です。

監修者JNS 省エネ建築コラム 監修チーム

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