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BELS(ZEH・ZEB)

2026年09月30日

モデル建物法と標準入力法の違いとは?計算方法や使い分けを分かりやすく解説

モデル建物法と標準入力法は、どちらも非住宅建築物の省エネ性能を評価するための計算方法です。大きな違いは、計算するときに入力する情報の細かさにあります。モデル建物法は、用途ごとに設定されたモデル建物をもとに、主な外皮や設備の仕様を入力する方法です。一方、標準入力法では、実際の建物に合わせて室ごとの外皮や設備などを詳しく入力します。

当記事では、モデル建物法と標準入力法の仕組みや違い、モデル建物法(小規模版)の特徴、審査やBELS申請での使い分けについて分かりやすく解説します。どの計算方法を選べばよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

1.モデル建物法と標準入力法の基本的な仕組み

モデル建物法と標準入力法は、いずれも非住宅建築物の省エネ性能を計算するために用いられる方法です。どちらも建物の外皮や空調、換気、照明、給湯などの条件をもとに省エネ性能を評価しますが、入力する情報の範囲や細かさが異なります。

まずは、それぞれどのような方法なのかを確認しましょう。

1-1.モデル建物法:モデル建物に設備仕様を反映して計算する

モデル建物法は、用途ごとに設定された「モデル建物」を使って省エネ性能を評価する方法です。事務所やホテル、学校、工場など、建物用途に応じたモデルが用意されており、評価する建築物の用途に合ったものを選択します。その上で、実際に採用する外皮や空調、換気、照明、給湯などの主な仕様を入力して計算します。

実際の建物にあるすべての室や設備を一つずつ入力する必要がないため、比較的少ない情報で計算できることが特徴です。図面から拾い出す項目も抑えやすく、計算にかかる作業負担を軽減できます。

一方、実際の建物をそのまま再現して計算する方法ではありません。そのため、個別の設備や細かな省エネ対策については、計算結果に十分反映できない場合があります。

1-2.標準入力法:室ごとに外皮や設備の仕様を入力して計算する

標準入力法は、実際の建物の設計内容に沿って、外皮や設備などの情報を詳しく入力する方法です。室ごとの床面積や用途を整理した上で、外壁や窓、空調、換気、照明、給湯、昇降機などの情報を入力して計算します。モデル建物法と比べると入力する情報が多いため、図面から必要な情報を拾い出す作業や入力作業に時間がかかります。

その反面、実際に採用する設備や設計上の工夫を細かく計算へ反映できる点がメリットです。たとえば、一部の室に高効率な設備を導入した場合も、その仕様を計算へ反映しやすくなります。

設計内容をできるだけ正確に評価したい場合や、より高い省エネ性能を目指す場合に検討しやすい計算方法です。

2.モデル建物法と標準入力法の違い

モデル建物法と標準入力法の大きな違いは、入力する情報の細かさです。モデル建物法では代表的な仕様を使って計算するのに対し、標準入力法では実際の建物に合わせて詳細な情報を入力します。

主な違いを整理すると、以下の通りです。

比較項目 モデル建物法 標準入力法
入力方法モデル建物をもとに主な仕様を入力実際の建物に合わせて詳細に入力
入力する情報量比較的少ない比較的多い
計算の作業量 抑えやすい多くなりやすい
設計仕様の反映限定的細かく反映しやすい
向いているケース計算負担を抑えたい場合詳細な省エネ性能を評価したい場合

ここからは、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

2-1.入力する建物情報と作業量が異なる

モデル建物法と標準入力法では、計算のために用意する情報量が異なります。

標準入力法では、室ごとの床面積や用途、外皮、設備などを整理して入力します。室数や設備の種類が多い建物ほど、図面から必要な情報を拾い出す作業も増える傾向があります。

モデル建物法では、モデル建物を利用することで入力項目が簡略化されています。実際の建物にあるすべての室を一つずつ入力する必要がなく、主な外皮や設備などの仕様を中心に計算できます。

そのため、計算に必要な作業量を抑えたい場合はモデル建物法が選択肢になります。ただし、入力項目が少なければ必ずモデル建物法が適しているわけではありません。建物の用途や設備構成、求める省エネ性能なども踏まえて判断する必要があります。

2-2.設計仕様を反映できる範囲が異なる

設計内容をどこまで細かく計算結果へ反映できるかも、大きな違いです。

モデル建物法では、あらかじめ設定されたモデル建物をもとに計算するため、実際の建物に採用したすべての省エネ対策を個別に評価できるわけではありません。たとえば、一部の室だけ高効率な設備を採用している場合、その効果を十分に反映できないことがあります。

標準入力法では、室ごとの外皮や設備などを詳しく入力するため、実際の設計内容を計算結果へ反映しやすくなります。

省エネ性能を高めるために複数の設備を比較したい場合や、個別の工夫を評価したい場合には、標準入力法のほうが検討しやすいでしょう。

2-3.適している建築計画や利用目的が異なる

どちらを選ぶか迷った場合は、「どの程度詳しく評価する必要があるか」を基準に考えると分かりやすくなります。

比較的シンプルな建物で、省エネ基準への適合を確認しながら計算作業を抑えたい場合には、モデル建物法が選択肢になります。

一方、用途や設備構成が複雑な建物や、設計上の省エネ対策を細かく評価したい場合には、標準入力法が適しています。

また、より高い省エネ性能を目指す場合には、設備性能や設計内容を詳細に反映できるかどうかも重要です。単純に「モデル建物法のほうが簡単だから」と決めるのではなく、建物の計画や最終的に取得したい評価などを踏まえて選びましょう。

3.モデル建物法(小規模版)とは

モデル建物法には、小規模な非住宅建築物を対象として、さらに入力を簡略化した「モデル建物法(小規模版)」があります。通常のモデル建物法よりも入力する情報が少なく、小規模な建物の省エネ計算にかかる負担を軽減しやすいことが特徴です。

ただし、利用できる建築物には条件があり、通常のモデル建物法と評価方法にも違いがあります。

3-1.小規模版を利用できる建築物の条件

モデル建物法(小規模版)は、非住宅部分の床面積の合計が300m2未満の場合に利用できます。2025年4月1日以降に着工する建築物の省エネ適合性判定で使用できる計算方法です。

通常のモデル建物法より入力項目が簡略化されていますが、昇降機やコージェネレーション設備など、一部の設備の入力には対応していません。そのため、対象となる建築物でも、設備構成によっては通常のモデル建物法や標準入力法を検討する必要があります。

また、増改築の場合は、増改築を行う部分の非住宅用途の床面積の合計が300m2未満であれば利用できます。計算を始める前に、建築物の規模や設備構成、増改築の対象範囲を確認しておくことが大切です。

3-2.小規模版と通常のモデル建物法の違い

モデル建物法(小規模版)は、通常のモデル建物法よりも入力項目が簡略化されています。通常版では約130項目ある入力項目が約90項目に削減され、外皮に係る面積の入力も不要です。一部の情報について入力を省略できるため、図面から数値を拾い出したり、設備仕様を確認したりする負担を抑えやすくなっています。

一方、入力を簡略化している分、実際の建物に採用した設備性能などを細かく評価する用途には向かない場合があります。そのため、小規模な建物だからといって、必ず小規模版を選ぶ必要はありません。

省エネ基準への適合確認を効率よく進めたいのか、設備性能をできるだけ計算へ反映したいのかなど、計算の目的によって通常のモデル建物法や標準入力法と使い分けることが重要です。

4.モデル建物法と標準入力法で審査時間は変わる?

モデル建物法と標準入力法では、計算方法が異なるからといって、省エネ適合性判定の審査期間が一律に決まるわけではありません。

実際のスケジュールには、建物の規模や用途、提出図書の内容、申請先との質疑、設計変更の有無などさまざまな要素が関係します。

ただし、計算に必要な情報量が異なるため、申請前の準備や修正対応にかかる作業量には差が生じる可能性があります。

4-1.入力内容や提出図書の量が審査時間に影響する

省エネ適合性判定では、計算結果だけではなく、設計図書などとあわせて内容を確認します。

標準入力法では、実際の建物に合わせて室や設備などの情報を細かく入力するため、図面と計算内容を確認する範囲も広くなりやすいでしょう。

一方、モデル建物法は入力する情報が比較的少ないため、計算や申請準備にかかる負担を抑えやすいことがメリットです。

ただし、モデル建物法を利用すれば必ず審査が早く終わるとは限りません。入力内容と図面に食い違いがあったり、必要な資料が不足していたりすると、確認や修正に時間がかかります。スムーズに進めるためには、計算方法だけでなく、申請前に図面や設備仕様との整合性を確認しておくことが重要です。

4-2.設計変更による再計算や確認で時間がかかる場合がある

省エネ計算を行った後に外皮や設備などの仕様が変わると、変更内容に応じて計算結果の確認や再計算が必要になる場合があります。

特に標準入力法は入力項目が多いため、変更した設備がどの室に関係するのかを確認し、該当する入力内容を修正する必要があります。モデル建物法でも、計算に使用した主な設備や外皮の仕様が変更されれば、計算結果へ影響する可能性があります。

申請直前や審査中に大きな変更が発生すると、計算書だけでなく関連する図面などの修正も必要となり、スケジュールに影響しかねません。省エネ計算を円滑に進めるには、外皮や主要設備の仕様をできるだけ早い段階で整理しておくことがポイントです。

5.モデル建物法と標準入力法はBELS申請に使える?

BELSは、建築物の省エネ性能を第三者が評価する制度です。非住宅建築物についても、一定の条件のもとでモデル建物法や標準入力法による計算結果を利用できます。

ただし、評価する建物の範囲や計算方法によって取り扱いが異なる場合があります。省エネ適合性判定だけでなくBELSの取得も予定している場合は、最初の省エネ計算を始める段階で、BELS申請まで見据えて計算方法を決めておくとスムーズです。

5-1.BELS申請で利用できる計算方法を確認する

BELS申請では、評価する建物の用途や範囲に応じて利用できる計算方法を確認する必要があります。非住宅建築物ではモデル建物法や標準入力法を利用できますが、建物の構成や評価対象によって適した方法が変わります。

特に、住宅と非住宅が組み合わされた複合建築物では、建築物全体を評価する場合、非住宅部分の計算方法に制限があります。

BELS取得を予定している場合は、省エネ適合性判定だけを基準に計算方法を選ぶのではなく、その後のBELS申請で利用できるかも確認しておきましょう。

5-2.目指す省エネ性能に応じて計算方法を検討する

BELSでは建物の省エネ性能を評価するため、どの程度の性能を目指すのかによっても計算方法の選び方が変わります。省エネ基準への適合を確認することが主な目的であれば、入力負担を抑えやすいモデル建物法が選択肢になります。

一方、より高い省エネ性能を目指す建物では、採用した設備や設計上の工夫を計算結果へ反映できることが重要です。特にZEBなどを目指す場合は、空調や照明をはじめとした設備の性能を細かく検討する場面が増えます。そのため、建物の計画によっては標準入力法が適している場合があります。

省エネ適合性判定、BELS、ZEBなど、最終的な目的を整理した上で計算方法を選ぶと、途中で計算方法を変更する手間も抑えやすくなるでしょう。

まとめ

モデル建物法と標準入力法の大きな違いは、省エネ計算で入力する情報の細かさです。モデル建物法は入力項目が比較的少なく、計算作業を抑えやすい一方、標準入力法は室ごとの外皮や設備を詳しく入力し、実際の設計内容を反映しやすい特徴があります。

また、小規模な非住宅建築物では、モデル建物法(小規模版)を利用できる場合があります。建物の規模や用途、BELS・ZEBなどの取得予定も踏まえ、計画に合った計算方法を選ぶことが大切です。

監修者JNS 省エネ建築コラム 監修チーム

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