Column

BELS(ZEH・ZEB)

2026年09月30日

ZEBとは?4つの種類やメリット・デメリット・活用できる補助金を解説

ZEBは、省エネと創エネを組み合わせ、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指す建築物です。達成する省エネ水準や創エネの扱いによって、『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4種類に分けられます。ZEB化によって光熱費やエネルギー消費量の削減、快適性や事業継続性の向上が期待できる一方、初期費用や設計面で検討する項目も増えます。

当記事では、ZEBの定義と評価方法、4種類の違い、メリット・デメリット、利用できる補助金について分かりやすく解説します。

1. ZEBの定義と評価の仕組み

ZEBは、省エネと創エネを組み合わせ、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指す建築物です。ここでは、ZEBの基本的な仕組みと評価方法を解説します。

1-1. 省エネと創エネで一次エネルギー消費量を削減する

ZEBは、建物で使う年間の一次エネルギー消費量を、省エネと創エネの組み合わせによって大幅に減らし、収支ゼロを目指す建築物です。一次エネルギー消費量とは、空調、換気、照明、給湯、昇降機などで使うエネルギーを熱量に換算して合計した値です。

まず断熱性能の向上や高効率設備の導入、自然エネルギーの活用などで消費量を減らし、その上で太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入します。ZEBでは室内環境の質を保ちながら省エネを進めることが前提で、省エネと創エネの達成度に応じて複数の区分に分けられます。

出典:環境省「ZEBの定義」

1-2. BEIを用いて省エネ性能を評価する

ZEBの省エネ性能は、BEI(Building Energy Index)という指標を用いて評価します。BEIは、設計した建物の一次エネルギー消費量を、同じ用途や地域などの条件で定めた基準一次エネルギー消費量で割って求める値です。

BEIが1.0なら基準と同程度、0.5なら基準より一次エネルギー消費量を50%削減していることを示します。数値が小さいほど省エネ性能が高いと判断できます。ZEBの区分を判定する際は、省エネによる削減率に加え、創エネを含めた一次エネルギー収支も確認します。

出典:環境省「ZEBの定義」

2. ZEBの4つの種類と違い

ZEBは、一次エネルギー消費量の削減率や創エネの扱いによって4種類に分けられ、達成する省エネ水準も異なります。ここでは、それぞれの基準と違いを解説します。

出典:環境省「ZEBの定義」

2-1. 『ZEB』:創エネを含めて100%以上の削減

『ZEB』は、省エネによって基準一次エネルギー消費量から50%以上削減した上で、太陽光発電などの創エネを含めて100%以上削減する建築物です。年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる、4種類の中で最も高い水準に当たります。

評価では、まず高断熱化や高効率設備などによる省エネで50%以上の削減を達成し、さらに敷地内の再生可能エネルギーを加えて100%以上の削減を目指します。省エネで建物の消費量そのものを十分に抑えた上で、創エネによって残る消費量を相殺する考え方です。この2段階の条件を満たすことで、建物の省エネ性能と創エネの双方を備えた最高水準のZEBとして評価されます。

2-2. Nearly ZEB:創エネを含めて75%以上100%未満の削減

Nearly ZEBは、省エネによって基準一次エネルギー消費量から50%以上削減し、創エネを含めると75%以上100%未満の削減を達成する建築物です。『ZEB』に限りなく近い水準として位置付けられ、ZEB Readyの要件も満たします。

高断熱化や高効率設備などで消費量を半分以下まで減らした上で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを組み合わせます。『ZEB』との違いは、創エネを含めた削減率が100%に達するかどうかです。年間の一次エネルギー消費量を基準から大幅に減らし、正味ゼロに近づけた建築物が該当します。省エネ性能を高めたうえで、創エネによってエネルギー収支をさらにゼロへ近づける考え方です。

2-3. ZEB Ready:創エネを除いて50%以上の削減

ZEB Readyは、創エネを除いた状態で、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減を達成する建築物です。外皮の高断熱化や高効率な空調・照明設備などによって、建物そのものの省エネ性能を大きく高めた状態を指します。

『ZEB』やNearly ZEBでは創エネを含めた削減率も判定しますが、ZEB Readyは省エネによる50%以上の削減が基準です。太陽光発電などを設置している建物でも、区分の判断では創エネ分を除いて評価します。将来的に創エネ設備を拡充し、Nearly ZEBや『ZEB』へ進む基盤となる水準です。創エネ設備に頼らず、省エネだけで高い削減率を達成する点が特徴です。

2-4. ZEB Oriented:用途ごとの削減率と未評価技術の導入

ZEB Orientedは、延べ面積10,000m2以上の建築物を対象に、用途ごとの省エネ基準と未評価技術の導入によって評価する区分です。事務所等・学校等・工場等では40%以上、ホテル等・病院等・百貨店等・飲食店等・集会所等では30%以上の一次エネルギー消費量削減が求められます。

さらに、WEBPROで現時点では省エネ効果を評価していない「未評価技術」を1項目以上導入します。大規模建築物では用途によってエネルギーの使われ方が異なるため、用途別の削減率を設定し、計算に反映されにくい先進的な省エネ技術の導入も要件としています。大規模建築物のZEB化を後押しする位置付けです。

出典:環境省「よくある質問」

3. ZEB化するメリット・デメリット

ZEB化には、エネルギー消費量や光熱費の削減に加え、快適性や事業継続性などのメリットがあります。一方、導入時には費用や設計面の検討も必要です。ここでは、主なメリットとデメリットを解説します。

3-1. メリット:光熱費とエネルギー消費量を削減できる

ZEB化すると、断熱性能の向上や高効率設備の導入によって建物のエネルギー消費量を減らせるため、光熱費の削減が期待できます。環境省は、ZEB Readyを実現した延床面積10,000m2程度の事務所ビルでは、標準的なビルと比べて光熱費を40~50%程度削減できる試算を示しています。

ただし、実際の削減額は建物の用途や規模、設備の運用状況、エネルギー単価などによって変わります。太陽光発電などの創エネ設備を導入すれば、購入する電力量をさらに減らせる可能性があります。長期的な運用コストまで含めて効果を確認することが大切です。

出典:環境省「ZEB化のメリット」

3-2. メリット:快適性や知的生産性の向上が期待できる

ZEB化では、省エネと快適性を両立できる設計を取り入れることで、利用者の快適性や知的生産性の向上が期待できます。高性能な断熱材や窓、自然換気、適切な空調・照明制御などを組み合わせることで、室内環境の質を保ちながらエネルギー消費量を抑えられます。

環境省も、ZEBは自然エネルギーの活用や個人の好みに配慮した空調・照明制御などにより、快適性・生産性の向上につながるとしています。働く人が長時間過ごすオフィスでは、温熱環境や明るさなどの改善が、健康面への配慮や、快適な執務環境の整備にもつながります。

出典:環境省「ZEB化のメリット」

3-3. メリット:不動産価値や事業継続性の向上が期待できる

ZEB化は、環境性能の高い建物としての評価や、災害時の事業継続性の向上につながることが期待できます。環境省は、ZEBのメリットとして不動産価値の向上を挙げており、環境・エネルギー性能を重視するテナントへの訴求材料や企業価値の説明材料としても活用できます。

また、建物のエネルギー需要そのものを減らし、太陽光発電や蓄電池などを組み合わせることで、停電時にも一部の設備へ電力を供給できる場合があります。非常時に必要なエネルギー量を抑えながら一定の機能を維持しやすくなるため、BCPや災害時のレジリエンス強化にもつながります。

出典:環境省「ZEB化のメリット」

3-4. デメリット:導入時のコストが大きくなりやすい

ZEB化では、高断熱化や高効率設備、再生可能エネルギー設備などを導入するため、一般的な建築や改修より初期費用が大きくなる場合があります。環境省のZEB PORTALでも、小規模事務所でZEB Readyを新築する場合、約10%のコスト増となる資料が紹介されています。

一方で、省エネによる光熱費の削減や補助金の活用によって、長期的な負担を抑えられるケースもあります。必要な設備や追加費用は建物の規模・用途・目指すZEB水準によって異なるため、初期費用だけで判断せず、運用期間を通じたコストで検討することが重要です。

出典:環境省「よくある質問」

3-5. デメリット:設計や設備の検討項目が増える

ZEB化を進める際は、建物の外皮性能、空調、換気、照明、給湯、再生可能エネルギーなど、複数の要素を組み合わせて省エネ性能を高めるため、設計や設備の検討項目が増えやすくなります。建物用途や利用状況に合った設備容量や制御方法を選ぶことも重要です。

環境省は、ZEBの実現ではパッシブ技術、アクティブ技術、創エネ技術を段階的に検討することが重要としています。既存建物の改修では既存図面や設備状況も確認しながら進めるため、早い段階から設計者や設備の専門家と連携し、目標と予算を共有しておくと進めやすくなります。

出典:環境省「ZEBを実現するための技術」

出典:環境省「6. 新築じゃなくてもZEBにできるの?」

4. ZEB化に活用できる補助金

ZEB化では、国の補助事業を活用できる場合があります。対象となる建築物やZEB水準、補助内容は制度ごとに異なります。ここでは、補助金を確認する際のポイントを解説します。

4-1. 補助金によって対象となる建築物やZEBの水準が異なる

ZEB化に活用できる補助金は、制度ごとに対象となる建築物や事業者、求められるZEB水準、補助対象経費などが異なります。環境省の「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」では、新築建築物のZEB化と既存建築物のZEB化を支援するメニューが設けられています。

制度・事業主な支援内容
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業新築建築物のZEB普及促進、既存建築物のZEB化などを支援
令和8年度ZEB実証事業ZEB化事業、既存テナント事業、未評価技術単独事業に区分
ZEB化診断・計画策定支援事業ZEB化に向けた診断や計画策定を支援

制度によって対象となる建物用途や延べ面積、所有者、ZEB水準などが変わります。補助率や対象経費も同一ではないため、計画している建物と導入設備がどの制度に合うかを確認して選ぶことが重要です。空調・照明・断熱材など、対象となる設備や工事範囲も確認します。

出典:環境省「令和7年度補正予算(三次公募)・令和8年度予算(二次公募)「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について」

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和8年度 ZEB実証事業/ZEB化診断・計画策定支援事業」

4-2. 最新年度の公募情報で対象要件を確認する

ZEB関連の補助金を利用する際は、申請する年度の公募要領で対象要件と受付期間を確認しましょう。制度名が同じでも、公募時期や対象事業、補助率、上限額、申請方法などが年度ごとに変わる場合があります。

制度2026年9月1日時点の公募状況
環境省「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」2026年8月21日~9月30日17時まで二次公募中
SII「令和8年度ZEB実証事業」二次公募は2026年8月17日17時に受付終了
SII「ZEB化診断・計画策定支援事業」2026年10月16日17時まで公募中

公募は予算状況によって早期に終了する場合もあります。申請前には環境省や執行団体の最新ページで、公募状況、対象要件、補助率、必要書類を確認しましょう。FAQや更新情報も合わせて確認すると、申請条件の変更や注意事項を把握しやすくなります。申請準備の期間も見込み、早めに確認を始めることが大切です。

出典:環境省「令和7年度補正予算(三次公募)・令和8年度予算(二次公募)「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について」

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和8年度 ZEB実証事業」

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和8年度 ZEB化診断・計画策定支援事業」

まとめ

ZEBは、省エネによって建物の一次エネルギー消費量を減らし、必要に応じて創エネを組み合わせることで、年間のエネルギー収支ゼロを目指す建築物です。削減率や創エネの扱いによって、『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4種類に分けられます。

ZEB化には、光熱費やエネルギー消費量の削減、快適性、不動産価値や事業継続性の向上などが期待できます。一方で、初期費用や設計・設備の検討項目も考慮が必要です。補助金を活用する場合は、建物用途やZEB水準などの対象要件を確認し、最新年度の公募情報を基に計画を進めましょう。

監修者JNS 省エネ建築コラム 監修チーム

contact

無料で相談したい方はお気軽にお問合せください
担当者よりご連絡します。

information

お役立ち情報が無料で
ダウンロードしていただけます。

お電話でのお問い合わせ

受付時間:10:00 ~ 18:00(月~金)