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省エネ計算・適合性判定

2026年07月12日

建築物省エネ性能表示制度とは?省エネ性能ラベルの見方と対応方法を解説

建築物省エネ性能表示制度とは、住宅や建築物の販売・賃貸時に、省エネ性能をわかりやすく表示する制度です。

2024年4月から、新築建築物を販売・賃貸する事業者には、広告などに省エネ性能ラベルを表示する努力義務が課されました。ラベルには省エネ性能や目安光熱費などが示され、建物を選ぶ際の判断材料になります。

この記事では、制度の概要や省エネ性能ラベルの見方、事業者が対応する際のポイントを解説します。

建築物省エネ性能表示制度とは

建築物省エネ性能表示制度とは

この制度は、建物の省エネ性能を買い手や借り手に「見える化」して伝えるための仕組みです。2024年4月に始まった比較的新しい制度であり、まずは制度の目的と、どのような事業者に対応が求められるのかを押さえておきましょう。

建物の省エネ性能を購入者・借主に伝える制度

対象となるのは、住宅や建築物を販売・賃貸する事業者です。建築物省エネ法に基づき、広告などに省エネ性能ラベルを表示することで、購入者や借主が建物の省エネ性能を把握し、複数の物件を比較しながら選べるようにすることを目的としています。

これまで省エネ性能は専門的で、消費者に伝わりにくい面がありました。しかし、星マークや数字で示されることで、性能の違いを直感的に理解しやすくなっています。

省エネ性能の高い住宅・建築物が選ばれる市場をつくり、2050年カーボンニュートラルに向けて建築分野の省エネを促す狙いもあります。あくまで表示を促す制度であり、性能そのものを義務づける制度ではない点が特徴です。

住宅・非住宅の販売や賃貸時に関わる

表示の努力義務がかかるのは、原則として2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築建築物を、販売または賃貸する事業者です。

住宅では分譲一戸建てや分譲マンション、賃貸住宅、買取再販住宅などが対象で、非住宅では貸事務所ビルや貸テナントビルなどが該当します。一方、販売・賃貸を目的としない注文住宅や自社利用のビル、民泊施設などは対象外です。

また、努力義務を負うのは売主・貸主などの販売・賃貸事業者であり、広告を扱う仲介事業者そのものではない点も押さえておきましょう。ただし、実際に広告を出すのは仲介事業者であることが多く、ラベル情報を正しく伝達してもらうための連携も欠かせません。

既存建築物については表示が推奨されるものの、表示しない場合の勧告等の対象にはならないので注意が必要です。

省エネ性能ラベルに表示される主な項目

省エネ性能ラベルに表示される主な項目

省エネ性能ラベルには、建物の省エネ性能が複数の指標で示されます。星マークや数字、金額など表示の形式もさまざまです。代表的な表示項目と、その見方を整理します。

エネルギー消費性能

ラベルの中心となるのが、設備を含めた建物のエネルギー消費性能です。国が定める省エネ基準から、どの程度エネルギーを削減できているかを示すBEIという指標を、星マークの数で表します。

省エネ基準に適合していれば星1つとなり、そこから10%削減するごとに星が1つずつ増えていく仕組みです。星4つ以上は、太陽光発電などの再エネ設備がある場合に表示されます。

専門的なBEIの数値そのものではなく星の数で示すため、省エネに詳しくない購入者や借主でも、性能を直感的に捉えやすくなっています。星の数が多いほど省エネ性能が高く、複数の物件を比較する際にも分かりやすい指標といえるでしょう。

断熱性能と目安光熱費

断熱性能は、建物からの熱の逃げにくさと、日射熱の入りにくさの2つの観点から評価され、数字で示されます。数字が大きいほど断熱性能が高く、省エネ基準に適合していれば4、ZEH水準に達していれば5と表示される仕組みです。

あわせて、目安光熱費を表示することもできます。これは、その建物の省エネ性能をもとに、全国統一の燃料単価などを用いて想定される1年間の光熱費を金額で示したものです。

実際の光熱費は住まい方によって変わるものの、物件選びの参考値として役立つでしょう。特に賃貸では光熱費を気にする入居希望者も多いため、目安光熱費の低さは入居者募集時のアピール材料になります。

ZEH・ZEB水準の達成状況

ラベルには、ZEH水準やZEB水準といった高い省エネ性能を達成しているかどうかも示せます。第三者評価であるBELSを取得し、一定の基準を満たすと、ラベルにZEHマークやZEBマークを表示できるため、性能の高さを明確に伝えやすくなります。

高い水準の達成状況を示すことは、省エネ意識の高い購入者や借主への訴求にもつながります。補助金や税制優遇の要件と関わる水準でもあるため、販売・賃貸の場面でも強みとして打ち出しやすいでしょう。

省エネ性能表示に対応する流れ

省エネ性能表示に対応する流れ

ラベルを表示するには、まず建物の省エネ性能を評価する必要があります。評価からラベル発行・表示までは一連の流れがあり、順序を押さえておくと対応がスムーズです。具体的な流れを確認しましょう。

省エネ基準に適合しているかどうか

ラベル表示の出発点は、その建物の省エネ性能を計算し、省エネ基準にどの程度適合しているかを把握することです。住宅であれば外皮性能と一次エネルギー消費量を計算し、BEIや断熱性能の数値を求めます。

この計算結果が、ラベルに表示する星の数や断熱性能の数字、目安光熱費の根拠になります。評価方法には、事業者が国の指定するWebプログラムなどで自ら評価する自己評価と、BELS評価機関による第三者評価の2種類があります。

自己評価は手早く対応できる一方、第三者評価は客観性が高く、ZEHマークなどの表示にもつながる方法です。正確な性能を示すためにも、まずは省エネ計算を行い、適合状況を確認しておきましょう。

適合しない場合に必要な措置

省エネ性能ラベルは、建物の性能をありのままに表示するものです。そのため、仮に省エネ基準を下回る性能であっても、その評価結果に基づいて表示します。

ただし、低い評価のままでは省エネ意識の高い消費者への訴求力に欠けるため、断熱仕様の見直しや高効率な設備への変更など、性能向上の措置を検討する余地があります。

なお、2025年4月からは原則すべての新築で省エネ基準への適合が義務化されているため、新築では基準適合が前提です。

表示制度と適合義務は別の制度ですが、新築では基準を満たしたうえで、その性能をラベルで示す関係にあります。あわせて押さえておくと、対応を進めやすくなります。

書面で説明・保存することが重要

省エネ性能の評価が済んだら、省エネ性能ラベルとエネルギー消費性能の評価書を発行します。ラベルは新聞・雑誌広告やチラシ、インターネット広告などに表示し、商談や契約の際には評価書を用いて省エネ性能を説明することが望ましいとされています。

ラベルの大きさは幅60mm程度が目安とされ、媒体に応じて見やすく表示します。また、発行したラベルや評価書、計算の根拠となる資料は、後から内容を確認できるよう保存しておくことが重要です。

誤認を招く表示は勧告などの対象になり得るため、正確な性能を、根拠資料とともに示す姿勢が欠かせません。

事業者が注意したいポイント

事業者が注意したいポイント

省エネ性能表示に対応するうえで、事業者が押さえておきたい実務上の注意点があります。誤認表示を避け、安心して表示を行うために、トラブルを防ぐためのポイントを整理します。

表示内容の根拠となる計算資料を整える

ラベルに表示する星の数や断熱性能の数値には、必ず省エネ計算という根拠があります。外皮計算や一次エネルギー消費量計算の結果を整え、ラベルの内容といつでも照合できるようにしておくことが大切です。

根拠資料が整っていないと、表示の正確性を説明できず、誤認表示を疑われるリスクもあります。

とくに第三者から問い合わせがあった際に、すぐに根拠を示せる状態にしておくことが望まれます。計算資料を適切に作成・保存しておくことが、安心して表示を行う土台になります。

設計変更時は表示内容の見直しが必要

省エネ性能は、断熱仕様や設備機器によって変わります。そのため、設計の途中で仕様を変更した場合は、省エネ計算をやり直し、ラベルの表示内容も見直す必要があります。

変更前の性能のまま表示してしまうと、実際の建物と異なる内容を示すことになり、誤認表示につながりかねません。

予告広告などで仕様が未確定の段階では、性能が確定してから表示することも認められています。設計変更が生じたら、省エネ計算とラベルの内容を必ず一致させるという運用を徹底しましょう。

省エネ計算に詳しい専門家へ相談する

省エネ性能ラベルの根拠となる外皮計算や一次エネルギー消費量計算は、専門的で手間のかかる作業です。自己評価のためのWebプログラム入力や、第三者評価であるBELSの取得まで含めると、対応すべきことは少なくありません。

こうした計算や評価を自社だけで完結させるのが難しい場合は、省エネ計算に詳しい専門家へ相談したり、代行を依頼したりする方法があります。計算や評価書の作成を委託すれば、正確なラベル表示につなげながら、本来の販売・設計業務に集中しやすくなります。

また、制度の最新の運用を踏まえて対応してもらえる点もメリットです。表示内容の不備や手戻りを防ぐためにも、早い段階で専門家に相談しておくと安心です。

まとめ

建築物省エネ性能表示制度は、建物の省エネ性能をラベルでわかりやすく伝えるための制度で、2024年4月から販売・賃貸事業者の努力義務となりました。

ラベルにはエネルギー消費性能や断熱性能、目安光熱費などが示され、その作成には外皮性能や一次エネルギー消費量の計算が必要です。販売・賃貸時の表示に備え、早めに必要資料を整理し、計算や評価に不安があれば専門家へ相談しましょう。

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